食べたい気持ちを抑えるのは、なかなか難しいですよね。 ダイエット中でも食べ物が目に入ると、「少しだけならいいかな~」と、ついつい手が伸びてしまいます。 仕事や趣味に意識を向けたり、なるべく食べることを考えないようにしたり。 自分なりに努力しているつもりなのに、それでも抑えられない食欲の原因は、もしかすると睡眠不足にあるかもしれません。 睡眠不足が続くと食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が減り、その反対に食欲を高めるホルモンであるグレリンの分泌が増えてしまうからです。
レプチンは肥満遺伝子を研究しているときに発見されました。 ギリシャ語で「やせる」という意味をもつ「レプトス」が名前の由来になっています。 脂肪細胞から分泌されるホルモンで、脳の視床下部をとおして肥満の状態をコントロールする働きがあります。 また、視床下部に作用して、満腹感を感じさせることで食欲を抑えたり、エネルギー代謝を進めて、体脂肪を減少させたりします。 レプチンが減ると、グレリンの働きが活発化するため、おなかが空いていないのに食べ続けるなど食行動が大きく影響を受け、結果として肥満になりやすくなることが研究で分かっています。 つまり食欲を抑えたいと思っている人にとってレプチンは、とても大切なホルモンの一つなのです。
ここまでで睡眠不足は食欲にもよくないと実感をしていただけたかと思います。 だからと言って、その現状をすぐに解決できない方もいらっしゃるかと思います。 そのような方は、まずは『よく噛む』ことでレプチンの分泌を促してはいかがでしょうか?
レプチンは、食事を食べ始めてから20~30分後に分泌されます。 早食いは肥満のもとだと言われますが、それはレプチンの働きで満腹感を感じる前に食事が終わってしまい、まだまだ食べられると脳が勘違いしてしまうからです。 レプチンに活躍してもらうためには、歯ごたえのある食材をしっかり噛んで食べるようにするなど時間をかけて食事をすることが大事です。
慢性的な睡眠不足は、仕事中などに生じる眠気や、前向きな意欲の低下、記憶力の衰えなどを引き起こすだけでなく、体内のホルモン分泌や自律神経の働きにも影響を与えています。 日本人は世界的にみても睡眠時間が短いといわれますが、食べ過ぎを防いで健やかに過ごすために、十分な睡眠時間を確保しましょう。
参考
「睡眠と生活習慣病の深い関係」.e-ヘルスネット(参照2022-5-12)
「メタボリックシンドロームとレプチン」.「“メタボ”と検査がよく分かる専門医のはなし19」.一般社団法人日本衛生検査所協会(参照2022-5-12)
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