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女性のうつ~②更年期の不調について考える

2022/12/01
ヘルスアップ健康だより

女性の人生では二度、うつ病を発症しやすい時期があるといわれており、産後と更年期がそれにあたります。 前回のコラムでは、産後のうつについてみていきました。今回のコラムでは更年期についてみていきます。

女性では40代頃から誰もが通る更年期ですが、その多くは仕事をしており、かつ、多くの女性が症状を訴えるものの、受診を含め適切な対処はしていないのが現状です。メンタル不調にもつながりやすい更年期の症状について、ご自身はもちろんのこと、家族や会社を含め正しい理解が必要です。

40代以降女性の現状
  • 一般的に女性の更年期といわれる45~54歳の女性の就業率は78.7%です。
  • 40代以上の働く女性のうち、74.1%が更年期の身体的・精神的不調を訴えた一方で、症状がつらいときの対処では、「何もしない」が50.0%と最多でした。
    更年期症状が原因で病院に行ったことの有無についてみると、「ない」が72.3%と多数に及ぶことがわかります。

出典:「2021年労働力調査」(総務省) (参照2022/11/29)
出典:日本労働組合総連合会 東京都連合会.‟生理休暇と更年期に関するアンケート調査結果報告書” 連合東京男女平等局.2022/7.(参照2022/11/29)

更年期とは

閉経(1年間月経がない状態:平均年齢=50.5歳)を挟んだ前後10年間を更年期と呼びます。
卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)は、20~30代でピークを迎えた後、40代に入ったころから急激に低下が始まります。
個人差はあるものの、早い人は40代に入ってすぐ症状を自覚することもあります。

女性ホルモンの低下はすべての女性に起こりますが、全員が更年期障害を起こすわけではありません。更年期障害を起こす背景には、心的ストレスや性格的なもの、職場や家庭における人間関係などが影響します。

一方、更年期の症状も千差万別で、重い人も軽い人も、あまり不調を感じない人もいるようです。

更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気を伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。

更年期障害の症状
更年期障害の症状は大きく3種類に分けられます。
  1. 血管運動神経系の症状
    ほてり、のぼせ、動悸、息切れ、ホットフラッシュ、発汗など
  2. 上記以外のさまざまな身体症状
    胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさ、めまいなど
  3. 精神症状
    不安感、意欲の低下、イライラ感、情緒不安定、不眠など
    …気分の落ち込みや、何もやる気が起きない等、精神症状が強くなると、更年期うつになる場合もあります
更年期について、知っておきたいこと

本人の心構えとアクション…迷ったら婦人科へ受診を
更年期の女性は、子育て、子どもの受験や就職、結婚、夫の退職や家族の介護など、環境の変化などからもストレスを受けやすい時期です。ご自身の心が安定しているか、という点にも十分に気を配っていただきたいです。
また、頭痛や肩こりなどこれが更年期症状なの?と迷う場合も多いため、更年期の症状かもしれない、と思う場合は、早めに婦人科へ受診をするとそこで他の病気との判別もできます。

 

特に更年期での気分的な落ち込みについては、うつ病などの病気を発症している可能性もあるためまずは受診し相談することをおすすめします。更年期による辛い症状は5年とも言われています。治療を受けることで、上手に更年期の時期を過ごしていきましょう。

更年期スコア(SMIスコア)
女性の更年期症状の状況を示す一つの指標です。
SMIスコア 
合計点=51点以上が更年期における女性が医療機関を受診する目安となりますので、参考にされてください。

出典:日本医師会雑誌.109巻. 1993, p259~264.

周囲のサポート

会社としてできることとしては、女性の健康問題についてのセミナーを開催したり、制度を周知したりするなど、社内のリテラシーの向上に努めることが大切です。
さらに、フレックス制度やリモートワーク、治療するための休暇を取得しやすくするなど、女性社員一人ひとりが体調にあわせて働き方を自由に選択できる環境があれば、その一時期をやり過ごせるかもしれません。

社内に産業医や産業保健スタッフなどの会社の相談窓口はありますか?管理職や同僚が男性の場合、適切なアドバイスができない時などは利用をすすめたり、逆に女性社員の健康状態を見ながら周囲が対処方法を相談したりすることも有効です。そういった場合や、上記のSMIスコアで26点以上(セルフケアが推奨されている方以上)の場合についても、ONLINE健康推進室の健康相談をぜひご活用ください。

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執筆者プロフィール 横山/保健師・公認心理師
臨床経験の後、行政での保健師経験の他、官公庁、民間企業にて産業保健に従事してまいりました。保健指導、健康相談、研修の企画、運営の他、メンタルヘルスの面談を数多く経験しています。
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