前回のコラムでは、女性の更年期についてみていきましたが、男性にも更年期があることをご存知でしょうか。
更年期と耳にすると、女性の問題という印象を持っている方が多いですが、実は、40歳頃から男性にも様々な体の変化が起こります。
働き盛りの年代に訪れる心身の変化と、不調を軽減する予防策をみていきましょう。
出典:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査基本集計結果」(2022年7月)
男女の更年期の違い
女性の更年期は閉経が目安となり、その前後の10年を更年期と呼ぶため比較的わかりやすいのですが、
男性の場合はそういった目安がないため、心身の不調と更年期障害との関連に気づきにくいのが現状です。
女性ホルモンは、20~30代でピークを迎えた後、40代に入ったころから急激に低下が始まりますが、男性の場合、男性ホルモン(以下テストステロン)は一般的に中年以降、加齢とともに緩やかに減少します。
テストステロン 3つの働き
テストステロンには大きく分けて3つの働きがあります。
① 筋肉量UPと維持
② 性機能を正常に保つ
③ 判断力や記憶力、集中力など、認知機能を高める
また、女性の全員が更年期障害を起こすわけではないのと同様に、男性も、更年期障害を起こす背景には、心的ストレスや性格的なもの、職場や家庭における人間関係などが影響し、個人差があります。
男性更年期障害の症状とチェック
身体の症状
筋力低下や関節痛、筋肉痛、異常発汗、ほてり、肥満、頻尿、性欲の減退など
こころの症状
健康感の減少、興味や意欲の喪失、眠れない、不安感、うつ症状、集中力や記憶力の低下など
診断は、問診(AMSスコア)と血液検査(血液中のテストステロン値)もよって行います。AMSスコアについては、セルフチェックの方法としても利用されていますので、関心のある方はネット上で検索してご利用ください。
男性更年期について、知っておきたいこと
テストステロンが減ると・・・
上記のテストステロンの働き以外にも、テストステロンには動脈硬化の予防、内臓脂肪の減少などの働きもあるため、減少により、動脈硬化による心筋梗塞や脳卒中、生活習慣病のリスクが高まります
男性更年期障害の予防のために
① 食生活…良質なたんぱく質(ラム肉、赤身の肉、魚肉、鶏肉、牛乳)がテストステロンをつくりますが、中でもラム肉にはテストステロンの分泌を高める作用があるカルニチンがより多く含まれます。
おいしく食べて脂肪燃焼したいなら、L-カルニチン豊富な羊肉で
② 適度な運動…筋トレや早歩きなど、1日10分でも継続してできることをしていきましょう。筋肉自体もテストステロンを作っています。大きな筋肉を鍛えられる、スクワットをご紹介します。
下半身を引き締めるスクワット
③ 充分な睡眠…男性ホルモンは夜中に作られます
睡眠に関するコラム
④ 自分なりの
ストレスの発散…強いストレスは、テストステロンを作る働きを阻害します。ゆっくりと入浴をしたり、泣ける映画をみて涙活をしたり、笑活などもおすすめです!あなたのストレス発散方法は、何ですか?
⑤ 社会参加…生活リズムの乱れや社会との関わりの減少によって、テストステロンは減ってしまいます。定年後もボランティアや地域の活動などに積極的に参加する、趣味など自分の楽しめることを今から見つけるなどがおすすめです
女性の更年期と比較して、認知度が低い男性の更年期ですが、イメージは少しついてきたでしょうか。
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執筆者プロフィール 横山/保健師・公認心理師
臨床経験の後、行政での保健師経験の他、官公庁、民間企業にて産業保健に従事してまいりました。保健指導、健康相談、研修の企画、運営の他、メンタルヘルスの面談を数多く経験しています。
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