大切な会議の前にお腹がキリキリ痛んだり、旅行先で便秘になってしまったり…そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。緊張や不安などのストレスが腸の不調をまねいたり、その逆に、腸の不調が原因で気分が落ち込んだり。「
脳腸相関」とは聞いたことがありますか?その名の通り、脳と腸が互いに情報を伝達し合い、お互いに影響を与え合う関係をいいます。
今回は脳腸相関の代表的な病気「過敏性腸症候群」について、みていきたいと思います。
7人に1人?過敏性腸症候群
大腸に炎症や潰瘍などがないにも関わらず、下痢や便秘などの症状が続く場合、最も多い病気は『過敏性腸症候群』です。
原因ははっきりとは分かっていないのですが、精神的なストレスが症状を悪化させる要因の一つと考えられています。
【脳腸相関】
脳の状態が腸に影響を及ぼし、逆に腸の状態も脳に影響を及ぼします
脳と腸が過敏になっているため、腸の運動も過剰になり、痛みやストレスを感じやすくなっています。またそこから不安やうつ状態にもなりやすくなるなど、お互いに影響し合っている状態です。
日本人では14%が該当するといわれているありふれた病気で、実は先進国に多くみられるため、『文明病』ともいわれています。例えば大切な会議前などにお腹が痛くなるなど日常生活に支障をきたすことも多いのが特徴です。年代は20~40 代が多いといわれていますが、子どもにもいます。
予防/対策
まずは生活習慣の見直しをしていきましょう
・暴飲暴食、飲酒や不規則な生活も原因になります
・唐辛子などの刺激物や脂っこいもの、インスタント食品などの加工食品などを控えることも有効です
・ストレスが原因の場合はそのストレスに対処していきます
→それでも改善しない場合はご受診されることをおすすめします。
注意すること
腹痛や下痢、便秘などが過敏性腸症候群の症状とお伝えしましたが、大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)なども同じ症状があるため、注意が必要です。そのような症状の他に、体重が減ったり、便に血が混じったり(便潜血検査で1度でも陽性が出るなど)、熱が出るような場合には、内科や消化器内科を受診されてください。
脳‐腸相関から、脳-腸‐腸内細菌へ
現在では、「脳-腸」だけでなく、「脳-腸-腸内細菌」の相互関係が、さまざまな分野で注目されはじめています。脳腸相関には腸内細菌が深く関わっており、腸の病気だけでなく、うつ病などの心の病や、パーキンソン病、アルツハイマー病などの脳の病気(中枢神経系疾患)の発症や予防とも関係することが近年の研究でわかってきているのです。
まずは、上記の
予防/対策で現在の生活習慣を見直し、腸内細菌を整える意味でも
『腸活』を意識していくのもおすすめです。
毎日の元気と笑顔をサポートする健康情報をお送りします!
季節のトピックスや健康増進に役立つコラム・動画を定期配信しています。
「これならできそう」、「これを実践したら心地よさそう」と思えることがあなたに合った健康づくりのヒントを見つけるコツ!
できることから無理なく健康づくりを始めましょう!
バックナンバーはこちらからご覧いただけます。
執筆者プロフィール 横山/保健師・公認心理師
臨床経験の後、行政での保健師経験の他、官公庁、民間企業にて産業保健に従事してまいりました。保健指導、健康相談、研修の企画、運営の他、メンタルヘルスの面談を数多く経験しています。
チャット健康相談では、日常の小さなお悩みでもぜひお待ちしています。一緒に解決法を探していきましょう。
看護師・保健師があなたのそばに。
ボタンをタップして、LINEで相談してみましょう!