体育祭やスポーツイベントが開催される時期になってきました。梅雨のつかの間の晴れはとても嬉しい気持ちになりますが、油断すると熱中症をおこすほど暑い日差しです。
総務省消防庁では毎年、「夏期の熱中症における救急搬送人員の調査」を行い、発表していることをご存知でしたでしょうか。熱中症予防の啓発活動を推進することを目的にしています。
最近、熱中症で救急搬送されたというニュースが増えてきたため、救急搬送人員の調査をみたところ、5月中旬には1700人、その後も毎週700~800人が搬送されていることがわかりました。
発生場所は住居が最も多く、次いで屋外、道路、教育機関となっています。
熱中症は、判断を誤ると治療が必要な怖い症状でもあります。今回の健康だより号外では、夏が真っ盛りになる前のこの時期から、熱中症について学び、ご本人やご家族、ご友人の体調管理にお役に立ていただける内容をご紹介します。
知っておきたい熱中症のメカニズム
熱中症は体温調節がうまく働かず、体に熱が溜まり体温が上昇した状態です。
通常、
体にたまった熱は、皮膚の表面、汗の蒸発の2つで熱を外に逃がし、体温を平熱に保っています。
ところが、
外気が暑すぎる、湿気が多い、無風で汗が蒸発しにくい、ずっと熱いものにあたっている、というような環境が影響すると、体の外に熱を逃がすことができず、体温が上昇し
熱中症を引き起こします。
また、
めまい、吐き気、頭痛といった、誰しも疲労や風邪などで感じる症状が、熱中症の脱水が原因で生じることもあり、気がつきにくさもあるでしょう。
熱中症を引き起こす3つの条件
熱中症を引き起こす3つの条件があります。それは、
<環境><からだ><行動>です。
<環境>工事現場や運動場、体育館のほか、家庭の中でも熱がこもりやすいふろ場、換気の悪い部屋など
<からだ>高齢者、乳幼児、肥満、脱水状態、二日酔い、睡眠不足、運動不足など
<行動> 激しい運動、長時間の屋外作業、密閉された場所での作業、水分補給がすぐにできないとき
普段の生活でも、思い当たる場面はいくつもありそうです。高齢や乳幼児という年齢や発達によるものは仕方ありませんが、それ以外のものは気をつけることができるかもしれません。そこで、代表的な熱中症対策をご紹介いします。
夏本番を前に、今から覚えておこう熱中症対策
- 水分補給と適度な塩分補給
喉が渇いていなくても、こまめに水分をとります。なぜなら、喉の渇きを感じた時はすでに体重に占める水分量の2%が減少しているといわれます。5%以上の減少で、痙攣や意識不明を起こすため、喉が渇く前に水分をとることの大切さがわかると思います。
塩のかたまりをなめる必要はありません。毎日の食事を通して、程よく塩分をとりましょう。
※持病で塩分制限のある方は、医師にご相談を!
- 涼しい服装
その日の外気温や湿度に注目しましょう。適切な衣類を選び、熱のこもりを調整できるようにするとよいです。
最近は、気象庁から「熱中症予報」も発出されています。ぜひ予報にも注意を払っていきましょう。
- 日傘や帽子、サングラス、日陰を利用
意識的に、日差しをよけるようにします。また、無風状態も熱中症の原因となるため、うちわや扇子を持っておくこともひとつです。しっかり仰いで、汗を蒸発させましょう!
- 丈夫な体づくり
暑さに慣れることも大切です。水分補給をしながら、外で活動をする時間をもうけ、夏に向けて気温の変化に徐々に慣れておくこともポイントです。
心構えが大切、いざという時に救急車を呼ぶポイント
会話がかみ合わない、もうろうとしている、普段通りに歩けない様子、体が熱い、という時は、迷わず救急車を要請しましょう。
これらの症状は、
脱水により血液量が減っている状態のほか、汗で電解質が失われているために、体が正常に働かなくなっている様子だからです。
熱中症では急に悪化することが多く、体の臓器に負担をかけ危険な状態に移行します。
体を冷やすだけで改善できる状態にないため、医療機関で迅速に治療を受けることを強くお勧めします。
"迷わず119!"が大切です!涼しいところに移動して、衣服を緩めながら、救急車の到着を待ってください!
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執筆者プロフィール 齋藤/看護師
循環器専門病院にて約20年、看護師として勤務。看護師の経験を活かし、オンラインでの健康相談を延べ1万件の対応をしてまいりました。得意とする相談は、睡眠障害、メンタルヘルス、生活習慣病など。オンライン健康推進室では、コンテンツ作成、コラム執筆、チャット健康相談やオンライン面談などをしています。ぜひお気軽に、ご相談ください。
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