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【健康だより 号外】
被災地で健康を守るためにできること

2024/01/05
ヘルスアップ健康だより

元旦に発生した、「令和6年能登半島地震」では、犠牲となられた方々に心よりお悔みを申し上げます。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

今回は、「被災地での健康を守るために」と題し、厚生労働省が平成23年に発布した、「被災、避難生活で健康を守るための情報」をもとに、避難生活で病気にかからないよう、できるだけ健康で過ごしていただくための情報をお伝えしていきます。

1.生活や身の回りのことについて

①暑さ寒さの対策
 災害時は停電で冷暖房が使いないことがほとんどです。自宅から電機製暖房器具を持ち込んでも、火災等の理由から使用できないこともあります。そこで、以下の5つが参考になります。
(参考:福岡県防災ホームページ
  • 床にマットや畳、段ボールを敷く
  • 隙間風にガムテープを活用し、気密性を確保する
  • 通気性を持たせるよう間仕切りを撤去するなどで適切にする
  • 備蓄している毛布やストーブを活用する
  • 冬山用の断熱マットや保温性の高いシートを活用する
②水分補給
 ストレスや、トイレが整備されていないといったことか水分補給を怠りがちですが、脱水による尿路感染症や心筋梗塞、エコノミークラス症候群の原因になるので、水分はこまめにとりましょう。
③食事
 菓子パン、カップラーメンなどに偏りがちになり、野菜等のビタミン、お肉などのタンパク質不足が懸念されます。また、ストレスにより食欲が低下しますので、まずはエネルギーのある飲料、汁物、甘いものを食べることから試みていき、野菜ジュースや果物なども摂取しましょう。
 できるだけ個包装のものを選び、手で直接触らないように気をつけながら食べましょう。
④トイレの衛生
 出来る限り手洗いをしていきましょう。定期的に清掃をすことも大切です。男女でトイレをわける配慮も必要です。
⑤生活環境
 避難所の場合は土足厳禁が好ましいです。受動喫煙を防ぐために、全面禁煙が好ましいです。

2.病気の予防

①感染症の流行を防ぐ
 集団生活では、感染性胃腸炎や消化器系、呼吸器系の感染症が流行しやすくなります。
 コロナウイルスではマスク、うがいと手洗いの徹底をされていたと思います。今回も同様にマスク、うがい手洗いの励行は非常に重要です。
 もし症状がある場合は、避難所以外の場所で療養することもありますから、医療者に相談をされてください。
 ケガをした場合、被災地では破傷風に感染する恐れもあります。汚れを放置せず、よく洗い、可能であれば医療機関に受診をしましょう。
②粉塵から身を守る
 家屋倒壊、またその除去作業により、コンクリートや耐熱剤などの壁材が大気中に舞います。こういった粉塵をすいこんでいると、後にじん肺という病気にかかることがあります。
 一般的には、撤去作業は専門家に行っていただきますが、個人で作業をする場合には以下の工夫が好ましいです。
  • 水を撒いて、巻き上がりを防ぐ
  • 先に粉塵や粉状のものを撤去しましょう
  • 屋内は換気しながら作業しましょう
  • 粉塵を吸わないようにしましょう(粉塵用マスク、静電気の起こりにくい衣類を着る)
  • 作業後に咳や痰、息切れがある場合は、医師や保健師に相談しましょう
 また、海水や洪水、大雨などの泥は、ウイルスや細菌が多くおり、汚染されています。けがをしている方や、子供も片付けなど作業に参加することもあるかもしれませんが、基本的には感染のリスクが高まるため、成人が行うようにした方が良いです。
③一酸化炭素中毒の予防
 密閉された場所で、燃料を燃やすことをしないでください。一酸化炭素は無臭無色であり、低い濃度で死亡に至ります。換気した状態で使用しましょう。
④エコノミークラス症候群の予防
 東日本大震災では、車内の避難生活でエコノミークラス症候群が多く発生しました。エコノミークラス症候群は、脱水や血行不良で血栓がおき、足から肺にとんで肺塞栓を起こす恐ろしいものです。定期的に体を動かす、水分摂取を怠らないことが大切です。
⑤心身の機能の低下予防
 避難所や避難生活では、体を動かす機会が減っていきます。筋力の低下、関節が固くなり徐々に動けなくなることもあります。また、体を動かさないことで心がふさぎ込むこともあります。なるべく身の回りのことを行い、周囲と声をかけあって体を動かす機会を作りましょう。
⑥歯と口の清掃・入れ歯ケア
 水不足により、歯や口、入れ歯の清掃がおろそかになることが多く、ストレスや食生活の偏りによっても虫歯や歯周病、口臭が生じやすくなります。こういった口腔内のトラブルは肺炎などの原因にもなるため、少量の水で口をゆすぐなど、清潔を意識しましょう。

3.慢性疾患の方々

慢性疾患の中でも人工透析を必要とする慢性腎不全、インスリンを使用する糖尿病の方は、治療が継続できるようにしましょう。
日頃から学会等で情報提供がされていますので、確認しておくことをお勧めいたします。
◆日本透析医会 災害時情報ネットワーク

◆日本糖尿病学会 「令和6年能登半島地震」への対応について

◆日本糖尿病学会 「避難生活Q&A」

4.妊婦さん、産後間もないお母さんと乳幼児の健康

平時でも妊婦や産後、乳幼児というのは健康に留意する必要がある方々です。
災害により受けたストレスや生活環境の変化は、母子ともにメンタルヘルスへの影響、体調不良に陥りやすくなります。
災害発生後、避難所や自治体では、看護師や助産師、保健師が体調を確認する体制を整えていきます。こういった専門家に遠慮なく相談をしてください。
また、内閣府より防災や備えについて情報提供がされておりますので、ぜひ参考にしてください。
◆あかちゃんとママを守る防災ノート

執筆者プロフィール 齋藤/看護師
循環器専門病院にて約20年看護師として勤務。看護師の経験を活かし、オンラインでの健康相談を延べ1万件の対応をしてまいりました。得意とする相談は、睡眠障害、メンタルヘルス、生活習慣病など。オンライン健康推進室では、コンテンツ作成、コラム執筆、チャット健康相談やオンライン面談などをしています。ぜひお気軽に、ご相談ください。

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