この度は、令和6年能登半島地震に被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
現在もご本人やご家族、ご親戚、ご友人で被災に合われている方が多くいらっしゃいます。
厚生労働省が設けているメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では被災者に対するこころのケアについて案内しております。
自然災害または大規模な事故などによる災害被災者のための心と健康の相談ダイヤル
~令和6年能登半島地震による災害被災者からの相談の受付を開始~
・開設時間:平日10時~17時(土日、祝日を除く)
・対象者:災害に被災された方(事業者及び労働者とその家族)
・フリーダイヤル:0120‐200‐826
詳しくは
こちら➡メンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
元日の能登半島地震に続き、羽田空港での航空機衝突炎上事故などの報道が続いていますが、惨事の報道に連日触れていることで、ご自身やお子様に長期的な心理的影響を及ぼすことがあります。
2001年のアメリカ同時多発テロをはじめ、東日本大震災やウクライナ侵攻など、過去にも惨事が報道され続け、被害者、被災者、視聴者においてメンタルヘルス不調をきたすことが報告されてきています。
常時と異なる出来事は、私たちに大変なストレスを与えます。程度の差はあっても、誰しも不安や心配などの反応が現れます。
特に、メンタルヘルス疾患をお持ちの方や、不安を感じやすい方はその反応が強くでやすく、セルフケアを強化していただくことが良いです。
そこで今回は、被災された方および、その皆様を心配されている周囲の方々にむけて、こころの健康を守るための情報をご紹介してまいります。
被災者のこころのケア
厚生労働省では、被災された方に向けて以下の5つを推奨しています。
- お互いにコミュニケーションを取りましょう
- 誰でも不安や心配になりますが、徐々に回復します
- 眠れなくても、横になるだけで休めます
- つらい気持ちは「治す」というより「支えあう」ことが大切です
- 無理をしないで、身近な人や専門家に相談しましょう
ご自身が休息や睡眠をしっかりとることはとても大切です。不安や心配事は、時間の経過とともに和らぐことがわかっています。
その回復を助けるのが十分な休息や睡眠です。体を休めたり、眠れる時にはしっかりと眠ることを心がけましょう。
また、心配でイライラする、怒りっぽくなる、眠れない、動悸や息切れで苦しいといった体調面に影響が出ているときには、無理をせず周囲の方に相談をしてみましょう。
被災地では、徐々に医療体制が整いますと、保健師やカウンセラーの活動が開始されます。そういった方に相談をし、心のケアを受けることも重要です。
そして、被災者同士でもお互いに不安を感じている方を支えることもあるかと思います。
周りの人が不安を感じているときには、以下の5つの接し方がポイントとなります。
- そばに寄り添うなど、安心感を与えましょう
- 目を見て、普段よりもゆっくりと話をしましょう
- 短い言葉で、はっきり伝えましょう
- つらい体験を無理に聞き出さないようにしましょう
- 「こころ」にこだわらず、困っていることの相談に乗りましょう
特に、こどもについてはご家族や周囲の大人が気をつけてあげなくてはなりません。
出来るだけ子供を一人にせず、安心感、安全感を与えましょう。だっこや痛いところをさする、体をなでてあげるといったスキンシップも良いです。
赤ちゃん返りや依存、わがままが増えたり、発達障害がある場合にはその行動が増幅される場合がありますが、いったん受け止めましょう。
対応に困る場合には、保健師やカウンセラーにも相談し、一緒にケアをするように心がけてあげてください。
被災者を心配する視聴者、周囲の方のこころのケア
被災地域におられない方々も、連日の余震、被災地域の困難さに心を痛めておられる方もたくさんいらっしゃいます。
一般社団法人「日本トラウマティック・ストレス学会」が公開する資料「惨事報道の視聴とメンタルヘルス」では、その気をつけたい点を掲載していますので紹介いたします。
- 惨事報道の刺激は必要最小限にする
- 同じ内容の惨事報道を繰り返し見ないようにする
- 衝撃的な映像の視聴を避ける
- 「ながら見」は控える
これは、惨事報道の視聴量と、心理的反応が比例することがわかっています。報道に触れていると、ストレス反応が高まっていくこと、過去のトラウマ体験の反応が強まることがあります。
自ら情報量をコントロールし、時にはニュースやSNSを見ない時間を作るなどして、過ごしましょう。
子供の惨事報道の視聴は大人が気をつけましょう
子供は、大人に比較すると、安全安心への不安が非常に高いものです。視聴を繰り返すことで不安感が高まり、赤ちゃん返り、おねしょ、一人で行動できなくなるなどの影響も起こります。情報を客観的に判断できる中高生に比較し、小学生や未就学児は非常に感受性が高いです。そのため、視聴の回数、時間は大人が制限してあげることが適切です。
一方で、子供は出来事を隠すことで不安が高まり、大人が慌てていたり不安を感じていることを「自分のせい」と認識することもあります。子供の年齢に合わせて、必要な情報は提供し、被災や支援に関することを説明してあげることもひとつです。そして、災害が「あなたのせいではない」ことを保証してあげましょう。
可能な限り、いつもと同じ生活を送ります。毎年恒例のおでかけや、学校の始業など、自粛する必要はありません。いつもの生活や慣れ親しんだ場所は、子供には安全安心を感じる重要な要素となります。
様々な機関にて、こういったこころのケアに関する情報を得ることができます。
◆一般社団法人日本トラウマティック・ストレス学会
大規模災害時の被災者と支援者のための資料集が多く掲載されています。
◆ストレス災害時こころの情報支援センター
一般の方に向けたメンタルヘルスの総論や、お子様へのケアの方法について掲載されています。
SNSでは様々な憶測や意見が飛び交い、真実がわからないこともあります。
公的機関からの情報を得ながら、ご自身でも判断をすることを大切にしていきましょう。
気持ちが晴れない、なかなか寝付けないなどのお悩みも、ONLINE健康推進室では受け付けています。ぜひご利用ください。
執筆者プロフィール 齋藤/看護師
循環器専門病院にて約20年看護師として勤務。看護師の経験を活かし、オンラインでの健康相談を延べ1万件の対応をしてまいりました。得意とする相談は、睡眠障害、メンタルヘルス、生活習慣病など。オンライン健康推進室では、コンテンツ作成、コラム執筆、チャット健康相談やオンライン面談などをしています。ぜひお気軽に、ご相談ください。
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