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睡眠の科学:睡眠不足がもたらす健康リスク

2024/01/24
睡眠睡眠コラム

1月も終わりに近づき、ますます冷え込みによりお布団から出られない朝も増えているのではないでしょうか。
うとうとと長い時間お布団にくるまり、ようやく体を起こしていく、そういったすっきりしない日を経験する人も多いかもしれません。
もっとぐっすり眠りたい、夢を見ないほどの深い眠りを手に入れたい。睡眠をより改善したいと思う方も多いでしょう。

そこで睡眠コラムでは、睡眠にまつわる健康リスク、睡眠の機能などについて、様々なことを紹介してまいります。
毎月のコラムを継続してお読みいただき、良い睡眠とは何か一緒に考えていきましょう。

睡眠不足大国ニッポン~年々不足する睡眠時間

毎年実施されている国民健康・栄養調査(令和元年調査結果)によると、1日の平均睡眠時間が6~8時間ほどの割合は、年代の差はありますが、総じて5~6割程度しかありません。
特に40歳以上60歳未満の働き盛りの世代では、年々睡眠時間が短縮している傾向にあります。

また、睡眠は疲労回復の唯一の手段と言われているにもかかわらず、「睡眠による休養を十分とれていない者の割合」は、平成21年は18.4%であったものの、平成30年には21.7%と増加しており、悪化してしまいました。特に中高年者(50歳代)において増加の度合いが大きいことが特徴的です。
睡眠で休養がとれている感覚は、睡眠時間の不足だけでなく、寝室や季節などの睡眠環境、生活習慣、日常的に摂取するお酒やカフェインなどの嗜好品、病的な睡眠障害の有無などのさまざまな要因により影響を受けています。
そのうえ、将来の健康状態に関わることが明らかにされました。

私たちの体をむしばむ睡眠不足

良い睡眠は、脳や心臓、ホルモンや免疫、認知機能やメンタルヘルスまで多岐にわたり、健康の増進にとても重要だといわれています。
睡眠が悪化することで、これに関連したさまざまな疾患の発症リスクが高まり、同時に寿命も短縮するリスクがあることがわかりました。
また、睡眠不足の状態は、眠気や疲労の原因となり、労働災害や自動車事故などのリスクにもさらされることになります。
さらに、睡眠は成長や記憶(学習)の定着・強化など環境への適応能力を向上させる機能を備えているため、睡眠不足は環境への適応や、仕事のパフォーマンスも損なうのです。

成人の適正睡眠時間は6~8時間

様々な研究結果によると、7時間前後の睡眠時間の人が、生活習慣病やうつ病の発症および死亡に至るリスクが最も低いことがわかっています。
同時に、これより長い睡眠も短い睡眠もリスクが増加することから、成人はおおよそ6~8時間が適正睡眠時間と考えられています。
(なぜ、長い睡眠が良くないかは、関連が明らかになっていません。)
脳波を用いた研究では、成人では、睡眠時間が短くなるにつれて総死亡率が増加することが明確に示されました。この世代は働きざかりでもあり、睡眠不足傾向が顕著であることはとても心配です。十分な睡眠時間の確保が健康維持に重要と考えられます。

一方で、65歳以上の高齢世代では、睡眠時間と総死亡率の関連は明確ではありません。ただし、布団の中に約8時間以上ゴロゴロと過ごしていた場合に、総死亡率が増加することが報告されています。
高齢世代では睡眠時間の長短よりも、床上時間が長すぎると不良な健康状態をもたらしうることを示しています。

現在、厚生労働省では、健康づくりのための睡眠指針の改定を検討しています。
その指針の推奨事項として、「毎日の睡眠時間を6時間以上確保する」ことが挙げられました。
不適切な睡眠環境、生活習慣、嗜好品のとり方など、注意すべき点は数多くあります。今後の睡眠コラムでは、どのように改善したらよいかを引き続きご紹介していきますので、お楽しみに。
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