皆さん、こんにちは。
健康に関連する様々な「○○デー」というイベントが年間を通して数多くあります。
2005年には5月17日に【世界高血圧デー】が制定され、日本も2007年から【高血圧の日】として、高血圧の啓発活動を行っています。
そこで、今月の健康だよりでは【高血圧】について解説します。
爆増する高血圧人口
世界の高血圧人口は、1990年代は約6億人とされていましたが、2019年には、12億8000万人と倍増し、かつ7億人以上が治療を受けていないことが推定されています。
今後は、ますます高齢化や貧困化による未治療者が増えると考えられており、国際的にも問題視されているのをご存知でしたでしょうか。
高血圧はなぜ危険なのか
高血圧は「サイレント・キラー」とも呼ばれています。自覚症状がないため、直接的な危険を感じることはありませんが、心臓病や脳血管疾患など、命にかかわる病気を引き起こすリスクが高まる可能性があります。
日本高血圧学会によると、実際に高血圧の治療を受けている人は約800万人であり、日本には潜在的な高血圧患者が推定で約4000万人存在するとされています。これは、治療を受けずに突然心臓病や脳卒中で亡くなる可能性が高い人が多く存在していることを示唆しています。
最近、高血圧の診断ガイドラインが改定されました。これは、血圧をしっかり下げることで心臓病や脳卒中をより確実に予防できると考えられたためです。
2019年からは、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上は高血圧と診断され、上の血圧が139〜130mmHg、下の血圧が89〜80mmHgは高値血圧と呼ばれるようになりました。高値血圧は高血圧とは診断されませんが、正常とは言えない値です。
血圧とはいったい何か?
血圧は、血管の中を流れる血液が血管の壁に与える影響をいいます。
血液は心臓のポンプ作用によって送りだされています。
血液を送り出すときに心臓が収縮して、血管に強い圧力がかかっている状態が「上」の血圧。
一方、次に送り出す血液を溜めるために心臓が拡張しているときが、「下」の血圧です。
高血圧とは
高血圧は、次の2つの要素が影響しています。
①血管の壁の固さと縮み具合
緊張すると血管の壁は収縮し狭くなり、血圧が一時的に上昇します。また、リラックスすると血管の壁はゆるみ、血圧が下がります。
脂質や血糖の影響で血管が硬くなる「動脈硬化」が起こると、末梢血管(毛細血管レベル)の血流が悪くなり、圧力が高まることが予想されます。
下の血圧が高い、という方はいませんか?それは、毛細血管レベルの動脈硬化が進んでいる証拠です。
上の血圧が高ければ、大きな血管が硬く縮んでいる証拠です。
どちらも将来的には高血圧に進行する可能性があるため、注意が必要です。
②血液量が多いとき
これは塩分の摂り過ぎが原因です。私たちの体は、電解質バランスを常に一定に保つように調整しています。
塩分たっぷりのラーメン、添加物、外食、コンビニ弁当、こういったものを常に食べていると、からだのナトリウム濃度が上昇します。このナトリウム濃度を下げるために、からだは水分を蓄えるようになります。その結果、全身に送り出す血液量が増え、心臓がポンプ力をあげて動き、血圧が上昇していきます。
心臓は常に筋トレをしている状態になるため、将来的には「心肥大」と呼ばれる、過度なパンプアップにより機能が低下する状態に移行する可能性があります。
心臓を無理に頑張らせすぎないように注意してくださいね。
今から始めよう、血圧チェック
もしあなたが血圧を気にしているのであれば、【家庭血圧】を測ってみましょう。
【家庭血圧】とは、自宅でいつも過ごしている状態での血圧の数値のことです。
例えば診察室や職場では緊張して高くなる一方、逆に医者の前では数値が良い、といった【白衣高血圧】【仮面高血圧】を見抜くことができ、いつもの状態を把握するために【家庭血圧】が役立ちます。
☆家庭血圧の測定 3Step☆
起床しトイレで用をたす→椅子に座ってリラックス、深呼吸→血圧測定(上腕で測るのが好ましい)
これを毎日、記録をしておきましょう。
血圧の季節変動なども把握ができる
夏は、暑すぎると血圧が上がり、冬の寒い時期も血圧が高くなる傾向があります。また、寝不足やお酒を飲んだ翌日は高かったり、しっかりと運動した後は低くなることもあります。
これらは自然現象の一部であり、何が自分に影響を与えているのか、自分の体を知る良い指標となるでしょう。
家庭血圧を記録すると、受診時にも参考になります。
受診しても、薬もくれないじゃないか、追い返された。とおっしゃる方もいます。
しかし、それは違います。お薬は一度始めるとやめにくくなる場合があり、一生飲むことになるかもしれません。処方もなく診察が終わったのは、まだセルフケアで回復が見込めるからです。頑張ってくださいね!という医師の判断です。
今からできるセルフケア
厚生労働省が解説する、減塩の食行動をご紹介します。
- 漬け物は控える
ー 自家製浅漬けにして、少量に
- 麺類の汁は残す
ー 全部残せば2~3g減塩できる
- 新鮮な食材を用いる
ー 食材の持ち味で薄味の調理
- 具だくさんのみそ汁にする
ー 同じ味付けでも減塩できる
- むやみに調味料を使わない
ー 味付けを確かめて使う
- 低ナトリウムの調味料をつかう
ー 酢・ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングを上手に利用する
- 香辛料、香味野菜や果物の酸味を利用する
ー こしょう・七味・しょうが・かんきつ類の酸味を組み合わせる
- 外食や加工食品を控える
ー 目に見えない食塩が多く含まれている。塩干物にも注意する
(引用元:
厚生労働省e-ヘルスネット高血圧 表2.減塩に有効な食行動の例:「減塩のコツ」)
困ったら相談しましょう
実際、家庭血圧はどう測ればよいのか?医師に見せて良いのか?しばらく測定したデータはどうみたらよいのか?
例えば、マラソンをしているのだけれど、血圧を心配したほうが良いのか?
血圧が高い気がするが、これは受診したほうがいいのか?
様々なご質問があろうかと思います。気になることがある方は、ぜひチャットで相談してくださいね。
ONLINE健康推進室では、こういった多岐にわたる健康について常に考えて配信をしています。
ぜひ、より健康を増進させていきたいあなた、たくさんの健康情報を受け取り、実践してみてくださいね。
執筆者プロフィール 齋藤/看護師
循環器専門病院にて約20年看護師として勤務。看護師の経験を活かし、オンラインでの健康相談を延べ1万件の対応をしてまいりました。得意とする相談は、睡眠障害、メンタルヘルス、生活習慣病など。オンライン健康推進室では、コンテンツ作成、コラム執筆、チャット健康相談やオンライン面談などをしています。ぜひお気軽に、ご相談ください。
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