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【交流分析①】3つの自我と人間関係

2024/08/14
ヘルスアップ健康だより

皆さんは、人間関係において
「本当は仲良くしたいのに、人との距離が縮まらない…」
「会話や性格がかみ合わず、人と話すのが楽しくない…」
「言いたいことをうまく伝えられず、気持ちをため込んでしまう…」
などといった経験はありませんか?

人間関係がうまくいかなかったり、コミュニケーションがすれ違ったりすると落ち込んでしまうことってありますよね。
このような人間関係の中でのやり取りやコミュニケーションのパターンは、
皆さんの中に潜む「人間関係を築く癖」がきっかけで起こっているのかもしれません。

そういった自身の癖を理解し、建設的なコミュニケーションをとる方法に「交流分析」という心理療法があることをご存知でしょうか?
本テーマは2回に分けてお伝えしていきますので、是非ご参考いただき、皆さんがご自身を振り返るキッカケになれば幸いです。

交流分析が目指すもの

「交流分析(TA:Transactional Analysis)」は、1950年代にアメリカの精神科医エリック・バーンによって開発された心理療法です。
私たちが生まれてからのすべての体験は、親子関係から始まり、他者との関わりを通じて、思考や感情などの心も成長していきます。その体験が、信念や価値観、人生の過ごし方に大きな影響を与えています。
交流分析が目指すのは、そんな"自分らしさを受け入れ、他者の存在を尊重する"あたたかい人間関係づくりです。

心(自我状態)の成り立ちと機能を知ろう

人の心は大きく3つの側面があり、これを「自我状態」と呼びます。
自我状態は、親(P:ペアレント)、大人(A:アダルト)、子ども(C:チャイルド)の3つで成り立っており、 親と子どもはさらに2分類に分かれ、全部で5つに分類されます。

◆5つの自我状態
  1. 支配的な親(CP:Controlling Parent )
    「ルールを守りなさい」、「不正をしてはダメだ」と社会の秩序やルールを守るよう厳しく求めるなど、批判的で厳格な側面。
  2. 養育的な親(NP:Nurturing Parent )
    「よく頑張りましたね」と他者への共感や思いやりを示すが、一方、過干渉や甘やかしなどによって、相手の自立を疎外してしまう側面もある。
  3. 合理的な大人(A:Adult ego state)
    現実を観察し、適切な判断をとる。
  4. 自由な子ども(FC:Free Child)
    「うれしい!」、「いやだ!」、「それ、やりたい!」と心のままに言動をとり明るく健康的である一方、自己中心的で我がままな面も含む。
  5. 順応した子ども(AC:Adapted Child)
    「申し訳ありません。おっしゃる通りです」と親や上司の意向に素直に従うが、他者に依存しやすく主体性の乏しさを伴う。他者に対しての敵意を隠すために従順であることもある。

人にはベースとなる「3つ(親・大人・子ども)の私」の部分があり、人によってその傾向の強弱があります。
そのバランスによって人柄や人間関係の交流の仕方が決まっていきます。

参考:e-ラーニングで学ぶ 15分でわかるはじめての交流分析1(厚生労働省)

ここで一つ、コミュニケーションの事例を見てみましょう。

■事例
上司 / 支配的な親の自我(CP)
「Aさん 、また締め切りに遅れてるじゃないか。どうしていつも計画通りに進められないんだ?こんなことじゃプロジェクトが遅れてしまうよ。」

部下自由な子どもの自我(FC)
「すみません、やろうとは思っていたんですけど他の仕事もあって。どうしても時間が足りなくて…。」

 

このやりとりでは、上司に「支配的な親(CP)」の癖が強く出ており、対して部下は「自由な子ども(FC)」の癖が出ているため、「支配的な親(CP)」特有の批判的な側面と「自由な子ども(FC)」特有の奔放的な一面で対立が生じやすい状況になります。
こういった場面では部下が「大人(A)」の自我を意識して応答することにより、現状を適切に判断して回答することで対話をより建設的にすることができます。

■応答を「子ども」から「大人」に変えると
部下 / 大人の自我(A)
「ご指摘ありがとうございます。現在の進捗は少し遅れていますが、具体的な原因は理解しており、今後に反映させるつもりです。
また、他のタスクとの優先順位も見直し、次の締め切りに間に合わせるように努めます。もし何かアドバイスがありましたらぜひ教えてください。」

このように、交流分析を用いると人との関わり方のパターンを客観的に見つめることができ、人間関係に活用することができます。

自我状態の現れ方の違いは「個性」
互いが尊重し合う気持ちが大切

5つの自我状態の働きの強い・弱いは、これまで親や周囲とどのように関わり、どう受け止めてきたのか、人から人への関わりの「違い」によるものです。

人は誰でも「OK(その存在は尊重されるべき)」であり、 誰もが個性を認め合える力を持っています。
自分の自我状態を見つめ、「私もあなたもOK」とお互いが尊重し合うことができれば、良好な人間関係を築くことができるでしょう。

「交流分析」がどのようなものか、何となくわかっていただけましたでしょうか。
本コラムは2回連載となりますので、次回(9月11日配信予定) は交流分析において人に幸福感を与える『ストローク』についてお話しします。是非、ご覧になってみてくださいね。


人と関わり方や人間関係で悩まれている時は 、ONLINE健康推進室の相談窓口もぜひご利用ください。
執筆者プロフィール 千葉/保健師・公認心理師
消化器内科病棟にて看護師としての経験を活かし、保健師兼公認心理師として、働く皆様の健康と心のサポートを担当しています。皆様が「あなたらしく」健康を維持・増進できるよう、一人一人の声に耳を傾け、適切なアドバイスを提供し、日々の生活がより良いものになるよう努めています。何か悩み事があれば、気軽にご相談ください。
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