すでに健康診断を受診された方もいれば、これからという方もいらっしゃいますでしょうか。
結果が手元に届いた時、有所見や基準と異なっている項目があるとそこに注視されるかと思います。
血圧やコレステロール、肝機能などは気を付けて確認される方も多いかと思いますが
皆さんは「視力低下」が指摘されたときどのように対応されますか?
「そのままにしていいのか…」と悩むお声も多く相談でいただくため、今回のコラムでは視力低下時の対応についてお話をしてまいります。
視力低下はどのように判断される?
健康診断では主にアルファベットの「C」のようなマークを機械で目視する「ランドルト環 視力表」を使用して視力の検査を行います。
多くの健診機関の判定基準で活用されている人間ドッグ学会で提唱されている判定値は以下の通りです。
▼視力 (メガネ・コンタクトレンズを使用中の場合は矯正視力にて判定)
異常なし (A判定)
: 視力1.0以上
要経過観察(C判定)
: 視力0.7~0.9(生活改善・再検査推奨)
要治療・要精検(D判定)
: 0.6以下
視力0.7~0.9は日常生活においてやや見えづらさを感じるもものの、裸眼で問題なく生活を送れる方もいます。
しかし視力が0.6以下の場合においては日常生活において見えづらさに困る場面も多くなり、見えづらさが影響して眼の疲れや痛み、頭痛や肩こりなども起きる可能性がある数値となっているため、治療の開始が推奨されています。
ちなみに、成人の視力検査には軽度異常を示すB判定区分はありません。
「異常なし(A判定)」の次の判定が「要経過観察(C判定)」に設定されたことについては、日本人間ドッグ・予防医療学会から以下のような発表がされています。
40歳台以降では白内障や加齢黄斑変性症,糖尿病網膜症など、視力低下を起こす病気も少なくありません。よって,1.0未満を判定区分で問題なし(判定B)とすることにはしておりません。
一方,現代社会では,遠くのものを見ない環境変化による近視眼が増加しています。
よって学校健診での0.7以上を要受診勧奨することは,成人では厳しいため,判定Cとしました。なお職業(消防士,パイロット等)によっては,それぞれ基準が決まっておりますので,特定の仕事に就く職域ではその職域での基準を適用されてください。判定区分は日本眼科学会との共同作成であります。
※日本人間ドック・予防医療学会 判定区分に関するQ&Aより一部抜粋
成人は視力低下の背景に、年齢性の疾患が関連している可能性もあるため注意して観察することが大切とわかります。
実はこの区分について、学生時代に受診する健康診断の判定区分と成人の判定区分が異なるのはご存知でしたか?
学校健診では学業への影響があるかどうかを判定するものであり、測定された視力の数値を「教室の一番後ろにいても黒板の文字が読める」などの状況に当てはめて判定が出ます。
お子さんの学校健診で視力検査があった際、成人の区分と混同してしまわないようお気を付けくださいね。
このような傾向・症状があったら要注意!速やかな病院受診を
視力検査でC判定だった場合には「その背景に疾患が隠れていないか」「メガネやコンタクトの度数やカーブは適切か?」といった確認のためにも一度眼科へ受診することをお勧めします。
その際に今後の受診頻度について担当の眼科医と相談できると安心です。
もし健康診断で視力の低下があり、以下のような症状が併発している場合には疾患が隠れている可能性が大きい為、速やかに一度病院を受診しましょう。
□昨年と比較して数値が急激に下がる(0.2~0.3以上下がる)
□目ヤニや涙、目の周りの発疹などの異常が併発している
□数日、数か月内で急激に見えづらさを感じるようになった
□視野が一部欠けている、影が見える、歪んで見える部分がある
豆知識💡
緑と赤の色を比較する検査は何を測定しているの?
メガネ・コンタクトレンズの度数を図る時に「赤と緑の色、どちらが良く見えますか?」といた検査をしたことはありませんか?
普段何気なく受けている検査かと思いますが、この検査は【レッドグリーンテスト】と呼ばれる測定であり
「現在着用・調整している度数は適正か?目の負担は大きくないか?」という状況を確認する検査です。
これは光の波長の長さや屈折する角度の特徴を利用した測定であり、赤がハッキリと見えたらもう少し度数を強くしても良い状態です。
反対に緑がハッキリ見える状態でしたら、度数が強すぎる状態や目が疲れやすい状態、つまり過矯正の状態とされます。
ちなみにどちらも同じように見えたら、適切な度数(正視)という目安になります。
もし次回レッドグリーンテストを行うことがありましたら、この度数がピッタリなんだな、これはまだ合ってないんだな…」と少し思い出してみてくださいね♪
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執筆者プロフィール きくち/看護師
美容・サービス業の会社員として就業をした後に改めて看護資格取得。消化器内科・皮膚科などの臨床経験後に産業看護師として働く皆様の健康をサポートするオンライン相談業務に従事しておりました。一般論ではなく「目の前のあなた」に寄り添ったメッセージをお届けいたしますので、気になること・困ったことがありましたら気軽にご相談ください。
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