「もう、飲めんばー」の語呂合わせで、11月はアルコール関連問題啓発週間の取り組みが実施されています。
アルコール依存症は、実はメンタル疾患であることをご存知でしょうか。
ストレスを抱え、毎日の飲酒の習慣を持っている方は、ぜひアルコール依存症の基本的な知識をインプットしてください。
この記事では、予防や支援方法をメンタルヘルスの観点から詳しく解説しています。
アルコール依存症とは
アルコール依存症は、飲酒をコントロールできなくなる状態を指します。これは身体的な依存と心理的な依存が原因です。
アルコール依存症は、次のような特徴があります。
- 飲酒のコントロール喪失: 飲酒量や飲酒の頻度を自分でコントロールできなくなります。お酒を控えようと思っても、依存症となっているために、夜中にわざわざ買いにでかけたり、仕事中でも隠れて飲酒をする行動を起こします。
- 耐性が強くなる:アルコールは、耐性ができると、今までの飲酒量では酔えなくなり量が増加していきます。気分が良くなる、陽気になるといったことや、酔って眠くなるなどの状態を求めている場合、同じ効果が欲しくなり、よりたくさん飲酒しなければならなくなります。
- 禁断症状:飲酒をしていないと身体的・精神的な不快感や症状が現れます。イライラ、手足がしびれるといった不快な症状があるために、常にアルコールを摂取し酔っている状態になりたくなります。
- 持続的な飲酒: 健康問題や社会的な問題が生じても、お酒がやめられません。例えば、肝機能が悪化してドクターストップがかかったり、お酒のせいで仕事を失敗したとしても、飲酒をやめられないのが現状です。
アルコール依存なぜ起こるの?
原因は①神経的な要素、②遺伝的な要素、③条件付けの3つがあります。
- 神経的な要素
長期にわたる飲酒は、脳内の神経細胞の機能を変えていきます。報酬効果といって、快感や喜びを得る効果が薄れ、快感を得にくくなるために、より報酬効果を高めるように多くの量を飲むようになっていきます。
- 遺伝的要素
アルコール依存症の家族歴がある場合、ご自身もなりやすいという統計があります。
アルコール依存症になった方のすべてが遺伝では言い切れませんが、通常より3~4倍の高い確率はあるようです。
- 条件付け
ストレス解消にちょうどよかった、寝つきが悪かったものが、改善した、といった良い体験を感じると、これにより報酬効果が高まり、アルコールを飲むという行動がどんどんと習慣化されることがわかっています。せっかくアルコール依存症を直したとしても、再発にも関与することが報告されています。
あなたのアルコール依存度をチェック!
では、あなたの今の状態はいかがでしょうか。こちらのチェックリストでアルコール依存度を確認してみましょう。
新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト / 新KAST 出典:「厚生労働省e-ヘルスネット」
断酒の重要性
アルコール依存症は、身体的、精神的、社会的に深刻な影響を及ぼす病気です。
長期間の過度な飲酒は、肝臓病、心臓病、脳の損傷、そして精神的な健康問題を引き起こす可能性があります。
また、アルコール依存症は家庭や職場での問題を引き起こし、人間関係を破壊することもあります。
断酒は、これらのリスクを減少させ、健康的で充実した生活を送るための第一歩です。
アルコール依存症の治療は減酒ではなく、断酒!
心療内科などの治療では、グループ療法が有効だと考えられています。
患者の自助グループなどで、自分を振り返りながら、飲酒の原因をさぐり、飲酒にいたらないようにストレスマネジメントができるようになります。
メンタルヘルスの観点からのアプローチ
アルコール依存症の治療には、メンタルヘルスの観点からのアプローチが不可欠です。
以下に、メンタルヘルスを重視したアプローチをいくつか紹介します。
- 心理療法: 認知行動療法や動機づけ面接などの心理療法です。これらの療法は、飲酒の原因となる思考や行動パターンを変えることを目指しています。
- メンタルヘルスの評価: アルコール依存症の治療を開始する前に、メンタルヘルスの評価を行うことが重要です。うつ病や不安障害などの併存症がある場合、それらの治療も同時に行う必要があります。
- 自己肯定感の向上: 自己肯定感を高めるための支援も重要です。成功体験を積み重ねることで、自信を持って回復の道を歩むことができます。
- 社会的支援の活用: 地域のリソースや支援団体を活用することで、社会的なサポートを受けることができます。これにより、孤立感を軽減し、回復のプロセスを支えることができます。
まとめ
アルコール依存症は、メンタルヘルスに深刻な影響を及ぼす病気です。しかし、適切な支援と治療を受けることで、回復の道を歩むことができます。
専門的な治療やサポートグループ、家族の支援、ライフスタイルの改善などを通じて、アルコール依存症からの解放を目指しましょう。
メンタルヘルスを重視したアプローチを取り入れることで、より効果的な回復が期待できます。
執筆者プロフィール 齋藤/看護師
循環器専門病院にて約20年看護師として勤務。看護師の経験を活かし、オンラインでの健康相談を延べ1万件の対応をしてまいりました。得意とする相談は、睡眠障害、メンタルヘルス、生活習慣病など。オンライン健康推進室では、コンテンツ作成、コラム執筆、チャット健康相談やオンライン面談などをしています。ぜひお気軽に、ご相談ください。
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