皆さん、こんにちは。ONLINE健康推進室です。
「暑さは体調に影響がある」ということをご存知の方は多いかと思いますが、実は気温が高い日だけでなく、湿度や作業時間の長さなど、さまざまな要因が組み合わさって熱中症が発症することはご存知でしたか？
熱中症は軽度のものから重篤なものまであり、最悪の場合命に関わることもあり、昨今の地球温暖化による気温上昇による影響から労働災害が懸念され、この度令和7年6月1日付で事業者に対して熱中症対策が義務化されました。
今回のコラムではどういった項目が義務化されたのか、といった内容をご紹介いたします。
熱中症の人を見つけた時に行うべき対応や個人の熱中症対策についてもご紹介しますので、是非参考にしてくださいね♪
なぜ熱中症対策が強化されるのか
近年では地球温暖化による影響もあって熱中症による私傷病者数もここ数年で増加傾向にあります。
なんと昨年（2024年）には職場における熱中症による死傷病者数がここ10年で最高の【1195人】にも上ることが厚生労働省から発表されました。
そのうち30名の方が亡くなっており、熱中症の影響を軽視できない状況が続いています。
熱中症による死亡者数は、労災全体の【約４％】となっており決して少なくはない現状です。
日本気象協会より今年の６～7月は全国的に気温が平年より高いことも予測されており、対策の重要性も高まっています。
しかし、現行の法令では熱中症による被害を受けた従業員の早期発見や重症化を防ぐための対応について定めがありませんでした。
そこで、今回の労働安全衛生規則改正により、企業が実施するべきとされる熱中症対策を法令上明記したという背景があります。
具体的な改正・強化内容とは？
今回の労働安全衛生規則にて改正され、追加された内容は以下のようになります。
労働安全衛生規則（熱中症を生ずるおそれのある作業） 第612条の2にて
①報告体制の整備と周知
熱中症の自覚症状がある人や熱中症の疑いがある人を発見した人が、その旨を報告するための体制を事前に定めて、その内容を関係作業者に周知すること。
特に1人や少人数体制となっている場合は連絡・連携方法や報告順序などを細やかに決めておくことが重要です。
②緊急対応手順の策定と周知
①で決めた発見の報告だけではなく、悪化防止措置も同時に定めておく必要があります。
具体的には作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察や処置を受けさせることといった、熱中症の症状の悪化を防止するための措置とその実施手順を事前に定めて、関係作業者に周知することが求められます。
対策の基本として「早期発見」「発見後の状況判断」「医療機関への搬送や救助要請といった対処」の３つが徹底されるよう
今回の法改正にて周知教育をすすめていくよう国から事業者へ求められました。
熱中症対策 私たちに求められる対応
もし熱中症と思われる人を見つけたら…？
- いま行っている作業を止め、まずは傷病者の症状を確認
【症状確認例】
①ふらつきや体の痙攣はないか？
②ボーっとしていたり、ろれつが回らないなど意識の変化はないか？
③大きな生あくび、頭痛や嘔吐、大量発汗といった全身の症状が出てしてないか？
- ①～③に１つでも該当していたら、すぐに周囲の方や現場管理者、管理職に申し出る
- 本人の意識を確認しつつ、救急隊要請を行う（管理者・管理職と連携した上で必用であれば自分で行う）
- 救急隊到着まで身体冷却を行う
【身体冷却例】
- 空調やクーラーの効いた涼しい場所、室外の場合は直射日光のあたらない日陰へ傷病者にしてもらう
- ぬれタオルや氷嚢を皮膚直下の太い血管のある部位である「首・脇の下・足の付け根」にあて、冷やす
- （可能であれば）体に水をかけてうちわや扇風機で風を当て、気化熱を利用して体を冷やす
- 自力で水分摂取できそうであれば、冷たい飲み物を飲んでもらう（自力摂取が難しい場合は無理に飲ませず、氷や水で体表面を冷やすことを優先する）
- 救急隊に経過を伝えて、医療機関へ搬送してもらう
（厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について パンフレットより参照）
②自分が熱中症にならないために
今回の法改正では主に事業者への対応が求められていますが、労働者である私たち自身もしっかりと自身の健康を守るために予防・対策をすることが重要です。
過去に掲載した以下コラムにて、具体的な対策などをご紹介しておりますので是非ご参考ください！
★熱中症救急搬送が毎週700人を超える！～今からが重要。熱中症対策🥵～
★STOP✋熱中症 クールワークキャンペーン
上記以外でもONLINE健康推進室では、皆さんがいきいきと毎日を過ごし、健康でお仕事に取り組めるよう様々な情報発信、相談対応を行っています。
熱中症の対策やそれ以外の健康に関連したご質問やご相談などありましたら、健康相談チャットを気軽にご利用ください。
執筆者プロフィール きくち/看護師
美容・サービス業の会社員として就業をした後に改めて看護資格取得。消化器内科・皮膚科などの臨床経験後に産業看護師として働く皆様の健康をサポートするオンライン相談業務に従事しておりました。一般論ではなく「目の前のあなた」に寄り添ったメッセージをお届けいたしますので、気になること・困ったことがありましたら気軽にご相談ください。
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