朝、鏡を覗くと顔色がどんよりしていたり、仕事中突然クラっとすることはありませんか?
それはもしかしたら、慢性的な疲れが影響しているだけではなく、メンタル不調の前兆かもしれません。
最近の研究で、顔色の悪さや貧血といった“鉄不足”が影響した症状が強く出る方はメンタル不調が生じる可能性が高くなることが分かってきました。
そこで今回は意外と知られていない「鉄分とメンタルヘルス」の関係性を解説し、簡単にできる対策法もご紹介します。
ちょっと思い当たるかも…という方は是非ご参考くださいね。

鉄分とうつの関係性
うつ発症に関連深い神経伝達物質として幅広く知られている「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」を合成する際に鉄分は補酵素として重要な役割を果たしています。
メンタルヘルスにおける各神経伝達物質の働きは以下のものです。
- セロトニン:精神安定、ストレス軽減、意欲向上、集中力向上、睡眠の質向上
- ドーパミン:快感と幸福感、集中力・学習力向上
- ノルアドレナリン:自律神経のバランス調整、集中力向上、記憶力向上、感情のコントロール
これだけ多くの調整を担っている各神経伝達物質ですが、実は体内で自然に合成されないことをご存知でしたか?
食事で原材料となるたんぱく質を摂取することが必須であり、その原材料から神経伝達物質を合成する過程で鉄分は必須の栄養素となります。
鉄分が不足するとこれらのホルモンが十分に作られず、意欲低下や憂鬱感を招くことが報告され、鉄分摂取とうつ発症に深い関連があることが分かりました。
メンタルヘルス対策のために食事を工夫する際は、たんぱく質と共に鉄分が十分に補充することも重要という事が分かりますね。
どうして鉄不足になると「うつ」になるのか?
前述したように、ストレス軽減や自律神経の調整、幸福感の醸成などメンタルヘルスを整えるために必要となる神経伝達物質を合成する過程に鉄分が深く関連していることも発症要因の一つとされますが、それ以外にも以下のような理由で鉄分はうつに関連している可能性が高いといわれています。
- 赤血球減少によって酸素運搬能力が低下する
鉄不足によって鉄欠乏性貧血が起きると、酸素運搬の役割を担っている赤血球の産生が抑制されてしまい、うつ発症要因の一つである「脳の酸素供給不足」が起きる可能性がある。
- 脳構造や神経回路への影響がある
記憶や学習に関与している【海馬】や感情のコントロールを担う【線条体】という組織の機能維持に鉄分は必須とされ、慢性的に鉄分が不足すると脳の機能低下が生じ、うつや不安・注意障害を引き起こすリスクがある。
たった1つの栄養素ではありますが、皆さんの心の安定を保つためにはとても重要な栄養素という事が伝わりましたでしょうか。
心身ともに不調を招いてしまわないよう、この後ご紹介する対策をぜひご参考ください!
すぐにできる鉄不足対策!
①食事で鉄分摂取を励行!
- ヘム鉄を優先して食べる:レバー、赤身肉、魚介類に含まれるヘム鉄は吸収率が高く効果的です
- ビタミンCを一緒に摂って効率UP:ビタミンCはヘム鉄、非ヘム鉄どちらも吸収を助ける働きがあるため、積極的に摂取しましょう
- 吸収阻害物に要注意!:タンニン(紅茶・緑茶)、不溶性食物繊維(穀類)、リン酸塩(インスタント・加工食品)は鉄の吸収が悪くなることがあるため、できるだけ控えましょう
☆おすすめ鉄分摂取レシピ♪
②サプリメントを活用する
どうしても食事での調整が難しい…という場合にはサプリメントを活用することも一つです。
鉄分は男性は1日あたり7.0~7.5ml、女性は18~74歳で月経がある方は10.5mg、月経がない方は6.0mgの摂取が推奨されています。
普段からあまり鉄分が取れていないかも…という場合には上記摂取量を参考に、食事も意識しつつ補助的に鉄分サプリをとることも検討しましょう。
ただし【ヘム鉄】のサプリに関しては、内服した後に「気持ち悪くなった、胃が荒れた」という報告が出ることがあります。
ですので、市販のサプリで体に影響が大きい場合には一度「内科」といった医療機関を受診して医師や管理栄養士に相談して内服を調整しましょう!
③病院で検査を受ける
「健康診断では問題がなかった」という場合でも、日にちの経過とともに貧血が進行していることがあります。
また、貧血の指標となる【ヘモグロビン】は健康診断の必須項目ですが、【フェリチン】という鉄欠乏性貧血の指標となる数値は健康診断で検査していないことがあります。
ヘモグロビン値が正常でも、体内の貯蔵鉄(フェリチン)が減っている「潜在性鉄欠乏」が発生していることもあるため、慢性的な疲労感や立ち眩み、頭痛などがある場合は一度【内科】で血液検査について相談をしてみましょう!
実践するにあたって気になることやご相談などありましたら、健康相談チャットを気軽にご利用ください。
執筆者プロフィール きくち/看護師
美容・サービス業の会社員として就業をした後に改めて看護資格取得。消化器内科・皮膚科などの臨床経験後に産業看護師として働く皆様の健康をサポートするオンライン相談業務に従事しておりました。一般論ではなく「目の前のあなた」に寄り添ったメッセージをお届けいたしますので、気になること・困ったことがありましたら気軽にご相談ください。
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