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「聴いているつもり」がすれ違いを生む?
職場で役立つ「積極的傾聴」

2026/09/09
ヘルスアップ健康だより
こんにちは。ONLINE健康推進室です。

「この前、こんなことがあって…」職場で誰かからそのように話しかけられたことはありませんか。
そのようなとき「大変だったね」と自分の経験を話したり「それなら、こうしてみたら?」とアドバイスすることがあるでしょう。どちらも相手を思っての言葉です。
しかし、相手が求めているのは解決策ではなく「ただ、自分の話を聴いてほしい」ということかもしれません。

私たちは人の話を聴きながら、次に何を言おうかと考えたり、自分の経験と照らし合わせて「こういうことなのだろう」と解釈したりしています。  
そのため、相手のためを思ってかけた言葉が、かえって「十分に聴いてもらえなかった」という感覚につながることがあります。  

相手の話を「聴く」とは、どういうことなのでしょうか。  
今回は、心理学の分野で発展してきた「積極的傾聴(Active Listening)」について、その考え方と職場での実践方法をご紹介します。

「ただ聴く」と「積極的傾聴」は何が違う?  

「積極的傾聴」と聞くと、積極的に質問する・たくさんの相槌を打つ・相手の言葉を繰り返すというイメージをもたれるかもしれません。もちろんこうした行動も大切です。
ただ、ここでいう「積極的」とは、聴き手がたくさん話すことではありません。「ただ聴く」が相手の話を受け止めることだとすれば、「積極的傾聴」は、相手の話に注意を向け、背景にある気持ちや意図まで理解しようとする聴き方です。相手の視点に立って「その人が伝えたいこと」を理解しようとする、そして、自分の解釈だけで判断せず、相手の意図や気持ちを確かめていくことが大切です。

積極的傾聴を支える3つの姿勢

「積極的傾聴」は、1957年に心理学者カール・ロジャースらが提唱した考え方を背景に発展した、相手の話を丁寧に受けとめる聴き方です。
ロジャースは、人が安心して自分のことを話すためには、「共感的理解(共感)」「無条件の肯定的関心(受容)」「自己一致」の「3つの姿勢」が重要だとしました。
こうした姿勢を意識することで、聴き手自身の先入観や思い込みに気づきやすくなり、相手への理解が深まります。
その結果、職場での人間関係づくりにも役立つことが期待できます。  

①「共感的理解(共感)」
—自分だったらではなく「この人にとって」を考える  
共感とは、相手と同じ気持ちになることではありません。
「この人にとって、この出来事はどのような体験だったのだろう」と考えることです。
たとえ自分には些細に思えることでも、相手にとっては大きな負担かもしれません。
実際の会話では、「そうだったのですね」と、まず相手の世界観に寄り添うことから始めましょう。
必要に応じて「それはどんなところが辛かったですか」と一歩踏み込んでみるのもよいでしょう。
②「無条件の肯定的関心(受容)」
—相手の気持ちをそのまま受け止める  
受容とは、相手の言葉や考えにすべて賛成することではありません。
「そんなふうに考えるのはおかしい」と評価したり「もっと頑張らないと」と否定したりせず、その人の体験を受け止めることです。
意見を言いたくなっても一度飲み込み、「この人は、今そう感じているんだ」とその人の気持ちに寄り添う言葉を返すことが大切です。
③「自己一致」
—聴いている自分にも気づく
話を聴く中で生まれる、聴き手自身の感情や考えを、無理になくす必要はありません。
自分はそう感じているんだと気付きながらも、自分の価値観や考えを相手に押し付けず、目の前の人を理解しようとする姿勢が大切です。
近年の研究でも「理解されている」と感じることは、人間関係や心の健康に関わる重要な要素であると報告されています。
話を聴く際には、「きっとこういうことだろう」と決めつけず、「そう感じているのかな」「もう少し聞いてみよう」と、分からない部分を残して聴くことも大切です。
必要に応じて「そういうことですか?」と確かめながら理解していきましょう。

職場で実践できる「積極的傾聴」

では、実際の職場では、どのように話を聴けばよいでしょうか。 

①言葉で「聴いている」を伝える
相手の話を遮らず「なるほど」「そうだったのですね」などのあいづちで話を聴いていることを伝えます。
相手の言葉を繰り返す「オウム返し」や、相手の話した内容を自分の言葉で要約して言い換える「パラフレーズ」も理解を確かめる方法の一つです。
ただし、同じ言葉を繰り返しすぎると機械的になるため、相手の話に合わせて自然に反応しましょう。
②態度でも「聴いている」を伝える
相手の方に体を向けときどき目を合わせるなど、話を聴く姿勢を意識します。
スマートフォンやパソコンからいったん目を離すことも「あなたの話を聴いています」というメッセージになります。
③分からないことは、決めつけずに確認する
「○○ということですか?」「もう少し聞いてもいいですか?」と尋ね、自分の解釈だけで話を進めないようにします。
分からないことを確かめながら、相手の話を理解していきましょう。

まとめ 

「積極的傾聴」は相手の話を上手に返すためのテクニックではありません。
「この人は今、何を感じているのだろう」と関心を向け、相手を理解しようとする姿勢です。
すぐに答えを出さず、まず聴く。分からなければ、確かめる。
そんな小さな心がけが、安心して話せる関係につながります。
職場での何気ない会話から、ぜひ意識してみてくださいね。

執筆者プロフィール 仙波/保健師
臨床・行政・教育現場など多様な現場で人と向き合ってきた経験をもとに、働く人の健康や働き方をサポート。
仕事と生活の両立に悩む声にも寄り添いながら、従業員向け健康支援コンテンツ作成や、看護職のキャリア相談に携わって参りました。
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